あらすじ

鬼退治の一部始終を語れる男が、自分の名前だけを答えられなかった。 ここは、忘れられた者が流れ着く辺獄。長く語られた噂は「もう一枚の顔」となって本人に貼りつき、放っておけば、本人の物語ごと呑み込んでいく。 その綻びが視える回収屋。答えを迫らず、問いを一つ置いて、失われた本人の物語を拾い直す。報酬は大根一本のこともある。それでも、目の前の顔をほっとけない――なぜかは、本人も知らない。 だが、剥がしたはずの話は消えない。土地を移っても、言い方を変えて追いかけてくる。――誰かが、まだ語り続けている。 後戻りのきかない場面も、ある。深追いすれば、こちらも無事では済まない。そして回収屋の目が届かないところが、一つだけある。自分の顔だ。 聞き覚えのある伝承が、思ってもみなかった顔で立ち上がる。謎を解くのは終わりじゃない。そのたび、誰かの物語が、居場所を取り戻していく。

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小説を読もう2026/09/26
  • 現在の作品預かりもの 〜拾って、磨いて、返す、辺獄の回収屋〜