あらすじ
三年前、疫病の責任を押しつけられ表舞台を追われた天才薬師・藍晶(らんしょう)は、名を変え「阿蘭」という冴えない下級薬官として王宮医局に潜んでいた。目立たず、粗忽者を演じ、平穏に生き延びる――はずだったのに。社交界で"悪女"と恐れられる伯爵令嬢・董艶(とうえん)に、処方箋の誤りをたった一目で見抜かれてしまう。「あなた、わざと下手に書いてるでしょう」。噂に反して聡明すぎるこの令嬢は、無実の罪を晴らすため、阿蘭の正体を利用しようとしていて――。無能を演じる天才薬官と、悪女と呼ばれる知略の令嬢。二つの擬態がぶつかり合うとき、王宮を揺るがす真実が動き出す。