あらすじ
人類は、存続させるべき存在なのか。
その答えを巡り、神々は争った。
「人間には、まだ変わる可能性がある」
そう主張した生命の神は、かつて共に世界の均衡を支えていた「均衡の神」に敗れ、神としての身体を失う。
次に目を覚ましたとき、彼は現代文明を持つ架空世界の貧しい家庭に生まれた赤子――リオになっていた。
神だった頃の記憶と、生命の状態を感じ取る力は残っている。
しかし神としての力は大きく制限され、人間の身体は弱く、誰かに守られなければ生きることすらできない。
父ダリオと母エレナに育てられながら、リオは少しずつ人間を知っていく。
痛み。
楽しさ。
金。
医療。
格差。
そして、誰かを大切に思うこと。
生命そのものに差はないはずなのに、人間社会では守られやすい命と、そうでない命がある。
そして五歳のある夜。
病を抱える母の命が、リオの目の前で消えかける。
すべての命は等しい。
そう信じていたはずのリオの胸に浮かんだのは、神としての原則ではなかった。
――母を死なせたくない。
これは、生命を守る神だった存在が一人の人間として生きながら、「命を守るとは何か」を問い直していく物語。