あらすじ

春の日。 ボタニカルアートと押し花を仕事にする紡木紗良は、アトリエ近くの小道で一人の青年と出会った。 風に飛ばされた一枚のスケッチ。 それを拾ってくれた彼は、別れ際、道端に咲く小さな花を踏まないよう、ほんの少しだけ歩幅を変えた。 名前も知らない、ただそれだけの出会い。 けれど数日後、二人は近くのカフェで再会する。 そして三度目の出会いで、ようやく互いの名前を知った。 星織蒼星、二十五歳。 大学院で心疾患の研究を続ける青年。 静かで穏やかな蒼星と、言葉より行動で想いを伝える紗良。 カフェで言葉を交わし、アトリエで同じ時間を過ごすうち、偶然だったはずの出会いは、少しずつ恋へと変わっていく。 けれど、蒼星には紗良に言えないことがあった。 ときどき見せる苦しそうな表情。 人より少し遅い歩幅。 何気ない未来の話を、どこか避けるような言葉。 紗良がその理由を知らないまま、二人の距離は近づいていく。 未来を約束してはいけない。 誰かを好きになってはいけない。 そう自分に言い聞かせていたはずなのに。 蒼星は、紗良と出会ってしまった。 恋をしてしまった。 そして初めて――未来が欲しいと思ってしまった。 これは、限られた時間の中で出会った二人が、 何度も迷い、それでも互いの隣を選びながら、 明日を信じようとした物語。 赤い糸は、どこへ続いているのか。 その答えを、二人はまだ知らない。 ――Still, I Loved You.

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エブリスタ
エブリスタ2026/09/25
  • 現在の作品『結べなかった赤い糸― Still, I Loved You ―』