あらすじ
後のロシア皇帝、ピョートル三世。
まだ十八歳の彼は、兵隊遊びにも少し飽き始めていた。
そんな中で目にしたのは、男は宮廷婦人に、女は若い紳士に姿を変えて踊る「メタモルフォーゼ舞踏会」。
「何これ。面白そう」
最初はただの好奇心だった。
ところが、真っ赤なドレスと化粧で別人のような美女に仕上げられたピョートルは、自分の歩き方も、カーテシーも、女性役の舞踏も全然なっていないことに気づいてしまう。
「……服を着ただけじゃないか」
ならば、もっと完璧にやればいい。
歩き方。
座り方。
裾さばき。
礼法。
舞踏。
話し方。
男としての自分はそのままに、なぜか女性役だけを本気で攻略し始める皇位継承者。
そして、男装した若きエカテリーナとの奇妙な夫婦の時間も、少しずつ動き始めて――。
後のロシア史を大きく動かす二人が、まだ未来を知らなかった頃。
史実の隙間に差し込む、ちょっと変で、少し切ない宮廷コメディ第8巻です。