あらすじ
平日はブラック企業でへとへと。婚活も、兄妹そろって空振り続き。
休日くらい、何もせずに寝転がっていたい。
そんな拓也(三十五歳)と美咲(三十二歳)が、ビールを買いに出かけようとした瞬間――目の前が、見知らぬ森になっていた。
森の奥で見つけたのは、ひっそりと佇む神殿。
温かいご飯。柔らかな寝床。仕事の連絡も、出勤もなし。
「……もう少し、ここにいてもよくない?」
ようやく手に入れた、何もしなくていい毎日。
けれど、二人の異世界生活は、そこで終わらなかった。
やがて身を寄せることになるマルタ商会には、一度は裏切られた商人と、彼を支える忠実な若者たちがいた。
拓也の物流の知識と、美咲の帳簿の工夫が、その商会を少しずつ変えていく。
気の抜けた兄妹の日常と、人と品物が行き交う商会の物語。
のんびり暮らしたかった二人が、異世界で新しい居場所を見つけるまで。