あらすじ
地下アートバー「Noir Knot」。
次の舞台で与えられた時間は十分。
縄師・芦原匠は、その夜に使う六本の麻縄を一本ずつ確かめていた。
傷もない。切れてもいない。まだ充分に使える。
それでも、一本だけ手が止まる。
舞台の途中で縄を疑えば、その瞬間だけモデルを見る目が減る。
使える縄と、使う縄は同じではない。
一本を舞台から外したことで、匠は初めて「減らす」という技術を知る。
これは『緊縛の美』第一幕から第三幕、その傍らにあったもうひとつの時間。
本編では描かれなかった、一本の縄を舞台から捨てるまでの静かな夜の物語。