あらすじ
人の心には、ときとして「バグ」が生まれる。
他人には優しくできるのに、自分だけは休ませることができない。
誰かに必要とされることでしか、自分の居場所を確かめられない。
他人と比べることをやめられず、自分自身を傷つけ続ける。
それは、感情そのものが間違っているわけではない。
ただ、同じ感情と思考を繰り返し、抜け出せなくなっているだけ。
精神科医・一条律。
彼には、人の精神に発生した異常――「精神バグ」を検知する黒い端末がある。
律は患者の精神世界《PCS》へ接続し、
怠惰、強欲、嫉妬、高慢、暴食、憤怒――
「七つの大罪」の名を与えられた感情のループを解析していく。
しかし、律は患者を救わない。
感情を消すこともしない。
バグを見つけ、
どこで心が同じ場所へ戻っているのかを示すだけ。
その環状の感情劇から抜け出す最後の選択は、
いつだって本人にしかできない。
これは、人の心を「直す」物語ではない。
自分自身の心と、もう一度向き合うための物語。