あらすじ
2028年。南アジアで確認された奇妙な感染症が、世界へ広がり始めた。
死後運動再活動症候群――PMRS。
感染者はやがて死亡し、その身体は再び動き出す。痛みも、疲労も、恐れもなく、生きた人間を襲い、咬傷と体液を介して感染を広げていく。
世間はそれを、こう呼んだ。
ゾンビ、と。
それでも、日本の日常が一夜で崩壊したわけではなかった。電車は走り、コンビニは開き、学生は試験を気にし、会社員は仕事へ向かう。テレビでは専門家が解説し、SNSでは真偽不明の映像が飛び交う。その傍らで、
感染は静かに広がり続ける。
休校。交通規制。病院の逼迫。都市封鎖。避難指示。途絶えていく連絡。後退していく行政。
昨日まで当たり前だったものが、一つずつ欠けていく。
崩れゆく日本を、混乱を金に変える男が、状況に流され続ける女子高生が、崩壊を食い止めようとする自衛官が、日本が、世界が不可逆的に変わり果てていく姿をそれぞれの場所から見ていた。