あらすじ

「君、新しい侍女か。ちょうどいい。妻に伝えろ――一生、私の前に顔を出すなと」 嫁いだその日。継母に持たされた地味な旅装のせいで、新しい侍女たちと一緒に勝手口へ並ばされたヘンリエッテは、にっこり笑って頭を下げた。 「かしこまりました、旦那様。奥様には、そうお伝えします」 戦場から戻ったばかりの公爵ヴォルフガングは、金で買われた妻を信じない。代わりに毎晩、茶を淹れる侍女に、顔も知らない妻への不満をこぼす。帳簿に四か所の誤りを指摘してきた生意気な手紙のこと。実家へ持参金を返せと書いてきた図々しさのこと。 ――全部、目の前の私が書いたものです、旦那様。 元恋人の子爵令嬢は「奥様に会わせて」と押しかけ、継母は持参金の追加をせびりに来る。けれど帳簿と領地のことなら、私は誰にも負けない。手紙の中の奥様と、茶を淹れる侍女。旦那様のお屋敷を守っているのは、どちらも私です。 これは、「顔も見せるな」を字義どおりに守った妻が、夫の本音を毎晩ぜんぶ聞いてしまう物語。 「君が妻ならよかった」 ――旦那様、それは奥様に言ってさしあげてください。

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小説を読もう2026/09/25
  • 現在の作品私のことを侍女と誤解してる旦那様が、私に毎晩妻(私)の悪口を言いに来ます ~「顔も見せるな」と仰ったので、侍女として毎晩お話を伺っております~