あらすじ
北大西洋西部、バミューダ諸島南西沖。
海上自衛隊の最新鋭イージス艦が、乗員約三百名とともに突如として消息を絶った。
原因は事故でも遭難でもない。
異世界で行われた《勇者召喚》――その暴走に、艦そのものが巻き込まれたのだ。
転移した先は、剣と魔法、魔導艦、飛竜が海を支配する世界。
そして出現直後、彼らが目にしたのは、世界最大の海洋国家によって蹂躙される小国艦隊だった。
警告はした。
それでも敵は、正体不明の巨大な鋼鉄艦へ砲撃を開始する。
ならば、やることは一つしかない。
最新鋭レーダー、艦砲、ミサイル、CIWS――そして転移によって特殊なスキルを獲得した自律思考型AI。
AIが得た能力は、消費した燃料や弾薬、損傷した艦体までも一定時間で「転移した瞬間の状態」へ復元する規格外の力だった。
さらに、乗員の中でも極秘特殊任務部隊の隊員たちだけに異世界のスキルが発現する。
海上では、補給という弱点さえ失った最新鋭イージス艦。
陸上では、現代特殊作戦の技術と異世界スキルを併せ持つ精鋭たち。
その両方を率いるのは、飄々として皮肉屋、それでいて戦闘となれば誰より早く決断する特殊任務部隊長兼艦長。
彼らが望んでいるのは、征服でも建国でもない。
ただ日本へ帰りたい。
――だが、この世界の海が彼らを放っておいてはくれなかった。
これは一隻のイージス艦と三百名の自衛官、そして少しずつ「意思」を持ち始めるAIが、剣と魔法の異世界で海の常識を塗り替えていく物語。