あらすじ
月面農場で二十八年間使われてきた、根圏環境制御システム「三号機」。
老朽化したそれは、より小さく、省電力で、正確な新型機へ交換された。
十二の栽培区画。
揃った給液量。
揃った酸素濃度。
揃った硝酸態窒素濃度。
すべて正常だった。
ところが、大豆が以前より多くの無機態窒素を要求し始める。
調べていくうちに見えてきたのは、二十八年間使われた古い機械と、農場と、大豆と、微生物のあいだにできていた、設計図には残らない関係だった。
完成した機械を親として殖やし、選抜しながら工業製品を作る時代。
それでも、コピーできないものがある。