あらすじ
「善人だと思われたほうが、生きるのに都合がいい」
伯爵家の庶子として虐げられて育ったリゼットは、金と権力を手に入れるため、善人の仮面を被ることにした。
そんな彼女が目をつけたのは、十年に一度選ばれる聖女。
――ただし、リゼット自身に神聖力はない。
彼女が利用したのは、桁外れの神聖力を持つ平民少女エレナと、他人の力を増幅する自らの異能《共鳴》だった。
「あなたの聖印を、一晩だけ貸して」
その一言から始まった偽りの聖女生活。
病人を救い、貴族を味方につけ、王子の婚約者となり、ついには王国中から『慈愛の聖女』と呼ばれるようになる。
――すべて、計算通りだった。
ただ一つ。
「あなたは、本当は聖女じゃない」
その正体を知る少女だけが、最後まで彼女のそばにいた。
善人になりたかったわけじゃない。
人を愛したかったわけでもない。
ただ、生きるために人を利用していただけ。
そんな少女が最後に知ることになる――
損得では決して説明できない、人間の感情を。