あらすじ
部屋で聞き覚えのない声がする。
何者かに襲撃され、壁と冷蔵庫が破壊された。
それでも翌朝には会社がある──なぜなら、有給はゼロ。
* * *
西暦2016年、よくある大手IT企業の話。
社会人失格の烙印を、近所のスーパーのスタンプカードくらい押されまくっている、新卒二年目の会社員・兄滋田。
正確にいえば、仕事ができない風を装っていても、周囲にはほぼ天才的であることがバレている。
ある夜。
兄滋田がこれ以上遅刻も許されない中で寝ていると、どこかから正体不明の、聞き覚えのない声が聞こえ始めた。
幽霊…?
幻聴…?
いや、これは確実に労災案件の匂い。間違いない。
そう思い込み、無視して寝入る兄滋田。
翌日、会社の始業時間を過ぎてもぐっすり寝ていた兄滋田は、出勤後にも常にトラブルが付き纏う。
昨日の声は何だったのか?
声の主を捜す兄滋田へ、何者かが見えない矢を放つ。
言葉の通じない襲撃者。
壊される壁と冷蔵庫。
減っていく敷金。
やがて兄滋田は、襲撃者が自分を「異世界から転生してきた騎士隊長」だと思いこんでいることを知る。
これは異世界へ行かなかった男と、異世界から来たと思っている、騎士隊長?のお話。