あらすじ

言うなれば、男は根っからの探究者だった。  『未知』に手を伸ばし続けた。  男は人並みの幸せを求めることなく、深い泥に身を沈め、その泥を自ら欲した。  それを愚者と言わずして、なんと言うのか。  しかし、それでも男は探究者だった。  『知恵』と『経験』を欲した。  『毒』と『愚』を呑んだ。  『既知』と『知識』を手繰り寄せた。  貪欲に、この世全てを喰らった。  彼は『未知』を喰らい尽くした。  大地を海を空を人を動物を過去を現在を未来を……彼は識った。識ってしまった。    そして、『未知』を喰らい尽くした彼は気づいた、人の限界に。  時の針が進む毎に思い通りにならなくなっていく己を呪った。  だから彼は『星』を喰らった。  永遠の命を奪わんが為に。  永劫の“今“を続けんが為に。  そして男は繰り返す。  “今“が朽ち果てようと、また次の“今“が始まる。それを彼は繰り返す。何度も時計の針をその手で始まりへと戻す。同じ"今"を繰り返して。  その意義を、忘れてしまっても。  彼は、本物の愚者となった。  探究者は死んだ。  男は、『永劫』を求め続け、深い泥に身を沈め、その泥を貪欲に溜め込んだ。  それを愚者と言わずして、なんと言うのか。  こうして『愚者』は誕生した。

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カクヨム
カクヨム2026/09/25
  • 現在の作品罪なき者には断罪を、罪ある者には祝福を