あらすじ
現代日本で上下水道の保全員をしていた芦屋朔は、濁流から子どもを救った夜に死んだ。
次に目を覚ましたのは、異世界の東方開拓団だった。
辺境で最初に命じられた仕事は、まだ名前のない土地へ杭を打ち、仲間の死体を村の内側に埋めること。
川には一つのルールがあり、森には一つのルールがある。人が死ぬたび、残された意志は「葬印」となって生き残った者の身体に刻まれる。力を使えば村を救える。だが、そのたびに使い手は死者の死へ近づいていく。
逃げれば村が消える。残れば、犠牲が制度に数えられる。
これは、英雄が一人で世界を変える物語ではない。死者の続きを引き受けた人々が、決められた地図の外に故郷を作る物語だ。