あらすじ
後宮に売られてきた下女・芥子(けし)は、声を出さないと決めて二年になる。表向きは物言わぬ毒見役。だがその実、舌先ひとつで毒と薬を見分ける異才の持ち主だ――口を開けば厄介事しか呼ばないと、身をもって知っているだけで。
ある夜、後宮でいちばんの寵を得ている妃嬪・柳蓉(りゅうよう)が突然倒れる。折悪しく、後宮に伝わる古い占書の一節「王朝を滅ぼす悪女は、寵を得るごとに周囲を蝕む」がその名に重ねられ、噂は瞬く間に燃え広がった。
記憶の一部を失い、身に覚えのない罪を着せられていく柳蓉。正体だけは死んでも明かせない芥子。利害の一致からふたりは手を組み、「悪女」の汚名の裏に隠された本当の毒と、本当の悪意を暴いていく――誰にも、しゃべらないという条件つきで。