あらすじ
最短距離、最適経路、効率的な帰宅。
何事も数字で考えるジュリアンは、港町の夕暮れに一匹の茶トラ猫と出会う。
帰ろうとした瞬間、猫は彼のツイードの裾を前脚で押さえた。
「なるほど。君は私をつかまえたのですね」
勝手に“身柄確保”されたと思い込んだジュリアンは、猫の後を追って裏路地へ。
そこで出会ったのは、古い船乗りの源次郎と、港町で暮らす人々の何気ない日常だった。
遠回りは、ほんの100メートル。
けれどその100メートルには、ほうじ茶の湯気と、焼き栗の甘さと、誰かの昔話が詰まっていた。
猫につかまり、時間につかまり、そして少しだけ救われる。
港町を舞台にした、やさしくて少しシュールな夕暮れの物語。