あらすじ

花崎透旋(はなさきとうせん)という男がいる。 人は彼を崇めている。 綺麗だ。 芸術だ。 まるで精巧な人形だ。 現代に舞い降りた天使。 この世のものとは思えない美貌。 繊細な指先は、旋律を奏でるために神が与えたものだろう――。 ――なんて馬鹿馬鹿しい! 戸羽美歌(とばよしか)は今すぐにでも鞄を壁に投げ付け、教室中の机と椅子をすべて蹴り飛ばし、目の前の気持ち悪い集団を散らして暴れ回りたいくらいだった。 美歌にとって透旋は、神様でも天使でもない。 幼い頃は鼻水を垂らしていた、ちょっと変で、泣き虫で、ひどく面倒くさいただの幼馴染みだ。 けれど周囲はそう思わない。 透旋へのお願いも、贈り物も、相談も、すべてなぜか美歌のところへやってくる。 いつしか美歌は「花崎透旋の幼馴染み」ではなく、 彼と人々を繋ぐための世話役になっていた。 そして、十五年近く積み重なった我慢がついに限界を迎える。 「私、透旋と――出会う前に、戻りたい……」 これは、神に選ばれたとまで言われる男の子が、 自分をただの人間として扱ってくれていた女の子に、 生まれて初めて――愛想を尽かされる話。

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小説を読もう2013/12/24
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