あらすじ
人は死ねば、輪廻へ還る。
記憶を失い、過去を失い、やがて新たな命として生まれ落ちる。
それが、この世界の理。
しかし時折、強い未練や後悔、憎しみを抱えたまま、輪廻の輪から外れてしまう魂がいる。
そんな魂が辿り着くのは、生者の世界でも、死者の世界でもない場所――『狭間』。
そこには、一柱の神がいる。
輪廻から零れ落ちた魂を見つけ、再びあるべき場所へと導く者。
人は彼を――『狭間の神』と呼ぶ。
だが彼は、神でありながら完全な神ではなかった。
神と人との間に生まれた、忌むべき半神。
本来、神に感情など必要ない。
人が死のうと、泣こうと、絶望しようと。
神はただ世界の理に従い、与えられた役目を果たす。
けれど、人の血を引く彼には『感情』があった。
だから時に死者へ同情し、
時にその死を悲しみ、
時には――神の定めた理にすら疑問を抱く。
神にもなれず、人にもなれない。
そんな彼が出会う、輪廻から外れた魂たち。
彼らの最期の想いに触れるたび、狭間の神は少しずつ知っていく。
人が生きるということを。
人が死ぬということを。
そして――。
なぜ自分だけが、人の心を持つ神として生まれたのかを。
これは、生と死の狭間にいる神と、
そこへ迷い込んだ魂たちの物語。