あらすじ
全国トップの進学校・麻布台学園で、模試全国一位の高校生・涼木蓮が屋上から転落死した。
警察は「受験ストレスによる事故」として処理しようとするが、元受験指導者の佐伯修司だけは、涼木の机から不自然に消えた一枚の書類に違和感を覚える。
調べを進めるうち、佐伯は模試の順位データが密かに書き換えられていた事実にたどり着く。「偏差値」は測るものではなく、進学校・予備校・模試会社・教育コンサルの利害によって「作られる」ものだった。涼木は、全国一位という称号のために利用される「広告塔」に仕立て上げられていたのだ。
真相に近づく者から、次々と不審な事故が襲う。証拠は消され、口は封じられていく。個人的な恨みを持つ元塾講師も浮上し、佐伯を惑わせる。
だが涼木は、死の直前まで、自分自身の手で真実を確かめようとしていた。手帳に残された暗号「99」――それは、彼が最後に残した、真実への鍵だった。
黒幕は一人ではない。仕組みそのものが、一人の少年の尊厳を奪った。
「あの日、殺されたのは、一人の高校生だけじゃない。教育そのものだったんです。」
数字が人の価値を決める社会への、静かな告発ミステリー。