あらすじ
「嫉妬に駆られ、リディア嬢のドレスを切り裂くとは。お前との婚約を破棄する!」
祝宴の最中、王太子から断罪された伯爵令嬢ロザリア。
けれど彼女が鋏を入れたのは、きつく締め上げられたドレスで倒れた令嬢を救うためだった。
言い分も聞かず、ドレスの弁償まで命じる元婚約者に、ロザリアは告げる。
「では、私からも請求書をお送りいたします。そのドレスの仕立て代です」
母から継いだ工房で、名前を隠して王室の衣装を作り続けてきた彼女。支払われない代金も、無理な注文も、未来の夫のためと耐えてきた。
でも、もう黙って針を動かすのはおしまい。
職人たちと未払いの帳簿を開き、切り裂いたドレスの縫い目をほどくと、王太子宮が隠していた事実が見つかって――。
これは、針仕事を愛する令嬢が、自分の仕事と名前、そして深く息のできる恋を取り戻す物語。