あらすじ
世界は、かつて1万時間遊び尽くした死にゲー〈終蝕のレガリア〉そのものだった。
しかも俺が手にしたのは、100兆ものポイント。
ステータスを上げれば、たぶん簡単に最強になれる。
だから上げない。
初期ステータス。初期装備。
ボスの攻撃を一発でも食らえば死ぬ。
その代わり、攻撃パターンも、隠し通路も、イベント条件も、ボスを倒すための攻略法も、俺は知っている。
せっかく本物の死にゲー世界に来たのだ。
最強になるより、最高難度で攻略したい。
問題は一つ。
俺はこの物語の主人公ではない。
世界を救う〈継承者〉ソウゴ。
彼を導く聖女ユーフェリア。
レガリアを集め、正しいイベントを踏み、ラスボスまで辿り着くには二人が必要だ。
つまり、死なせるわけにはいかない。
「ソウゴ、お前は主人公だから死ぬな」
「モブ、お前は自分の命を何だと思ってるんだ!?」
俺にとって二人は、大切な攻略要員。
だから守る。
ポーションを顔面に投げつけてでも守る。
ボスが二人を狙えば、もっと危険な攻略法に切り替えてでも俺が引き受ける。
ただし、ボスだけは譲らない。
巨大な魔獣。
水面の波紋を追って殺しに来る鐘守。
ゲームでは知っていたはずの敵が、現実になったことで未知の動きを見せる。
それでも観察する。
死にかける。
攻略法を作り直す。
そして笑う。
「これが、死にゲーだ」
そんな俺を、ソウゴとユーフェリアはなぜかますます信頼していく。
俺はただ、ラスボスまで最高の縛りプレイを続けたいだけなのに。
一方、レガリアを巡って暗躍する聖王国の重鎮たちから見れば、未来を知っているかのように危機を突破し、継承者と聖女を動かし、常識外れの力まで隠し持つ俺は――どう考えても放置できない危険人物らしい。
味方には尊敬される。
敵には警戒される。
本人だけは、そんなことより次のボスの攻略法を考えている。
100兆ポイントを持つ死にゲー廃人が、最後まで初期ステ縛りを貫いてラスボスを狩る。
これは、世界を救う主人公の物語――のすぐ隣で、誰より楽しそうに世界を攻略するモブの物語。
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※カクヨム/小説家になろうにて連載中。