あらすじ
深い森の中にポツリと佇む洋館。そこで暮らす伯爵夫人が、ある夜、裏手の滝壺へと身を投げた。
十年間夫人に仕えてきた専属侍女のグレースが現場で見つけたのは、崖へと続く『二つの足跡』と、残された片方の靴。
一方、妻に凄惨な暴力を振るっていた悪徳伯爵は、悲劇の夫を演じながら「心優しい庭師が妻を連れ去り、心中したのだ」と罪を擦り付けようとする。
誰もが「悲惨な心中事件」と信じ込む中、都からやって来た一見うだつの上がらない刑事・ギデオンだけは、現場に残されたわずかな違和感を見抜いていた。
滝の轟音が響く崖際で繰り広げられる、夫人の尊厳を守る侍女と、すべてを見抜く切れ者刑事の心理戦。
やがて明かされる、足跡に隠された『哀しくも美しい真実』とは——。