あらすじ
この国には、人々を認証する「門番」がいる。
厳しい試験を通り、専門の教育と訓練を受けたエリートたちだ。
かわいい門番。
格好いい門番。
仕事の早い門番。
感じのいい門番。
男女を問わず人気の門番には列ができる。
門番になることを夢見る若者も多い。
彼らが受け継いでいるのは、はるか昔に失われた古代文明の認証技術。
生体認証。認証器。公開鍵。物理鍵。
高度な技術を築いた古代への敬意とともに、その知識は研究され、復元され、長い時間をかけて現在の認証制度へ受け継がれてきた。
研究院で古代認証技術の再編纂を担当することになった一人の研究者も、それを疑ってはいなかった。
残された資料を整理し、古代の知識を改めてまとめ直す。
ただ、それだけの仕事になるはずだった。
けれど、資料を一つずつ読み直していくうちに、現在まで伝えられてきた説明と、古代の記述との間に、小さなずれが見つかり始める。
古代の技術と、今も人々を認証する門番たち。
その間に、いったい何があったのか。
これは、古代への敬意から始まった認証制度の歴史をたどる、認証技術の考古学。