あらすじ
横浜・日吉で高校二年生の娘・由奈と二人で暮らす四十七歳の田中明美。離婚から十年余り、貿易事務の仕事と子育てを一人で抱え、誰にも頼らずに生きることを自分に課してきた。ある金曜日、アルバイト先で由奈が倒れたと電話が入る。娘に付き添っていたのは、視察で居合わせたエリアマネージャーの佐藤悠一だった。お礼の食事をきっかけに、同じく離婚を経験した二人はメッセージを重ね、少しずつ心を通わせていく。だが、母の再婚を後押ししていたはずの由奈は、変わっていく母の姿を目の当たりにして揺れ始める。娘の本音と、自分の中に芽生えた想い。潮風の吹く港町で、明美はもう一度誰かと歩き出す勇気を見つけていく――。