あらすじ
平凡な会社員の男は、目を覚ますと一九八八年、十八歳の自分に戻っていた。
彼には三十八年分の未来の記憶がある。
バブル崩壊。IT革命。スマートフォン。ネット通販。GPU。宇宙へ向かうロケット。そして人工知能。
だが、知っているのは結果だけ。
株価の細かな数字も、出来事の日付も、肝心なところは曖昧だった。
それでも彼は知っている。
今はまだ無名の若者たちの中に、
やがて世界を変える人間がいることを。
まだ革ジャンを着ていない、絵を描く半導体を作る男。
自分が作った果物会社を追われた男。
ドアをテーブルにして本のネット通販をはじめた男。
全財産を突っ込んで、ロケットを飛ばそうとしている男
その人たちがいる場所へ行ってみたい。
自分には、世界を変える才能はない。
ならばせめて、その才能が消えそうになったとき、少しだけ時間を渡せないだろうか。
後に巨人となる人々の、まだ何者でもなかった時代。
その傍らに立とうとした、一人の普通の男の物語。