あらすじ
「先生、この子、斜視じゃないですよね?」
泣きそうな顔で赤ちゃんを抱えて診察室に駆け込んでくる母親。
「色が変わるかもよ」と子どもの注意を引き、検査に協力してくれる親。
検査がうまくいかなくても、仕事を休んで何度でも病院へ通ってくれる家族。
眼鏡を嫌がる孫を「かわいそうだから」と外してしまわないよう、子どもの目について学ぶために一緒に来る祖父母。
眼科の診察室には、さまざまな親子がやってくる。
中には、子どもの小さな変化に気づけない親もいる。
一方で、少しの赤みに慌てて駆け込んでくる親もいる。
私は日々、子どもたちの目を診ながら思う。
親に必要なのは、何でも見抜く特別な能力ではない。
「この子には、今、世界がどんなふうに見えているのだろう」
そう想像することなのではないか。
子どもの目を、自分の目に置き換えて世界を見る。
これは、眼科の診察室で出会った親子たちを通して、「見る」ということと「子どもを大切にする」ということを考えた、医療エッセイ。
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