あらすじ
普段ほとんどSNSを更新しない娘が、突然一枚の写真を投稿した。
病院のベッドに横になった美月が、生まれたばかりの赤ん坊を抱いている。目を閉じた小さな娘の手が、おくるみの隙間からのぞき、美月の指をぎゅっと握っていた。
添えられていた言葉は短かった。
「無事に生まれました。元気な女の子です。今日から私もお母さんです」
投稿には、すぐに親戚や友人からコメントがついた。
「美月、おめでとう!」
「赤ちゃん、かわいい!」
「真紀も浩司も、とうとうおじいちゃんとおばあちゃんね。こんな大きな話、全然聞いてなかったわよ」
私は病院の廊下のベンチに座りながら、そのコメントを眺めていた。
親戚たちが知らなかったのも無理はなかった。
実の母親である私でさえ、美月の妊娠を知ったのは、ずいぶん後になってからだった。
しかも数か月前、この子がまだ美月のお腹の中にいた頃、相手の母親は美月を指さして「疫病神」と罵った。
挙げ句には、うちにまで押しかけてきて、リビングをめちゃくちゃにしていった。
話をさかのぼると、美月が佐久間翔太との結婚を口にしたところから始まる。