あらすじ

一九三七年、沖縄。七歳の島袋千代子と新垣文子は、糸満の市場で出会う。漁師の娘で明朗活発な千代子と、物静かだが正義感の強い文子は、南十字星を探しながら「十五歳になっても一緒に見よう」と約束する。しかし日中戦争の拡大とともに、学校は軍国教育に染まり、沖縄の言葉は禁止され、子どもたちは国家の示す「正しさ」を疑うことさえ許されなくなる。朝鮮では金英姫が日本名を強制され、中国では陳美玲が故郷を焼かれ、二人は日本軍に帯同させられて沖縄へ送られる。千代子と文子は、英姫を「ヨンちゃん」、美玲を本来の名前で呼び、国籍を越えた友達となる。 一九四五年三月、十五歳となった千代子と文子は、ひめゆり学徒隊の看護要員として陸軍病院壕へ動員される。薬も水もない壕で負傷者を看護しながら、二人は軍の命令や住民の切り捨てに「おかしい」と声を上げる。一郎と正信も男子学徒として戦場へ送られ、一郎は千代子との再会を願いながら死亡。正信は右手首と右脚を失う。六月十八日の突然の解散命令後、少女たちは戦場へ放り出される。最後のガマで千代子は、日本軍が朝鮮と中国で行ったことをヨンヒと美玲へ謝り、「あなたたちは大切な友達」と告げるが、直後に銃弾を受けて絶命する。文子も美玲をかばって撃たれ、「ヨンちゃん、ちよちゃん」と呼びながら十五歳の生涯を終える。 戦後、サイパンから帰った千代子の兄・清一は、家族全員の死を知って泣き崩れ、ヨンヒと悲しみを分かち合う。正信は文子の最期を美玲から聞き、絶望の中から再び生き始める。やがて清一とヨンヒ、正信と美玲は結ばれ、差別や戦争の傷と向き合いながら家庭を築き、子どもたちへ亡くなった人々の名前を受け継ぐ。 一方、家族を失った八歳の比嘉初江は、夫と息子、教え子を失った仲村先生と出会う。教師と教え子だった二人は、互いを誰かの代わりではない存在として選び、母娘となる。青空教室で学び直した初江は教師となり、千代子と文子の生き方を次世代へ語る。西表島の夜、南十字星と長寿の星カノープスを見上げた生存者と子どもたちは誓う。奪われた命を数字にせず、その名前と「間違いを間違いと言う勇気」を未来へ伝え、皆の分まで長く生きていくと。

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小説を読もう2026/09/24
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