あらすじ
ある日の放課後、悠真と五つ子姉妹が学校に残っていると、校舎全体を謎の青白い光が包み込む。床に現れた巨大な魔法陣には、五つの星と一つの小さな鍵が描かれていた。次の瞬間、六人は光の中へ落ち、剣と魔法が存在する異世界へ転移してしまう。
異世界で五つ子姉妹に与えられたのは、それぞれの性格と才能に合った特別な職業とスキルだった。しかし、悠真に与えられた職業は、まさかの「無職」。五人が強力な能力を手に入れた一方で、自分には何の力もないと思った悠真は、再び自分が落ちこぼれであることを思い知らされる。
ところが、悠真には「可能性視」という特殊なスキルが備わっていた。それは、魔物の弱点や敵の攻撃パターン、魔法の欠点、壊れた道具の直し方、仲間の隠された才能や能力の組み合わせを見抜く力である。悠真自身の戦闘能力は高くないが、五人の力を最大限に引き出し、六人でしか使えない連携攻撃を生み出すことができる。また、異世界の文字や言葉を理解する異世界言語理解や、仲間の能力を組み合わせて戦術を組み立てる連携指揮のスキルも持っている。
六人は異世界で生き残るため、冒険者となって魔物退治や薬草採取などの依頼を受ける。最初は五つ子姉妹がそれぞれ勝手に行動するため、依頼のたびに騒動が起こる。しかし、悠真が五人の性格や能力を理解し、五人もまた悠真の本当の価値に気づくことで、六人は少しずつ強い仲間になっていく。
やがて、五つ子姉妹の手には、かつて異世界を救った五人の巫女と同じ紋章が浮かび上がる。五人は単なる異世界からの転移者ではなく、世界の運命に関わる特別な存在だった。そして悠真は、五人の力を導く「六人目の鍵」と呼ばれる存在であることが明らかになる。
魔物との戦い、王国の陰謀、魔王軍との戦争、古代文明の秘密を乗り越える中で、五つ子姉妹はそれぞれ悠真を特別な存在として意識するようになる。朱莉は悠真に頼ることを覚え、紅葉は素直に自分の気持ちを伝えられるようになり、美桜は悠真の心を支える存在となり、静香は言葉で想いを伝える勇気を身につけ、明日香は子ども扱いされるのではなく、一人の女性として見てほしいと願うようになる。
仲間として始まった悠真と五つ子姉妹の関係は、長い旅と数々の危機を通して、家族のような絆へと変わっていく。そしてその絆は、やがて友情を越えた恋へと発展していく。
現世では何をやっても上手くいかなかった落ちこぼれの少年と、個性豊かな五つ子姉妹。これは、六人が互いに支え合いながら異世界で成長し、世界の危機に立ち向かい、やがてかけがえのない恋と絆を手に入れていく物語である。
白石悠真
十六歳の高校一年生。勉強も運動も苦手で、何をやっても失敗ばかりしてしまうため、クラスでは「落ちこぼれ」と呼ばれている。自分に特別な才能などないと思い込んでおり、何かが上手くいっても「たまたま成功しただけだ」と考えてしまう。しかし、本当の悠真は周囲をよく観察しており、他人の気持ちや物事の変化に気づく力を持っている。困っている人を見かけても最初は自分には助けられないとためらうが、最後には必ず行動する優しい性格である。
そんな悠真と同じ学校に通っているのが、十六歳の五つ子姉妹、一ノ瀬朱莉、一ノ瀬紅葉、一ノ瀬美桜、一ノ瀬静香、一ノ瀬明日香である。五人は全員高校一年生で、同じ日に生まれた姉妹だが、性格はそれぞれ大きく異なっている。
長女の一ノ瀬朱莉
真面目で責任感が強く、学校では生徒会の仕事を任されるほど優秀な少女である。妹たちを守ることが自分の役目だと思っており、何でも一人で抱え込んでしまう。人前ではしっかりしているが、本当は弱音を吐くことが苦手で、誰かに頼ることを恐れている。異世界では聖騎士となり、片手剣と盾を使って仲間を守る。光の力をまとわせる聖剣術や、仲間への攻撃を防ぐ聖なる守護、戦場で味方をまとめる統率のスキルを持つ。最初は悠真を頼りない少年だと思っているが、彼が何度も自分たちを支えてくれるうちに信頼を寄せ、やがて恋心を抱くようになる。
次女の一ノ瀬紅葉
勝ち気で負けず嫌いな少女である。成績ではいつも朱莉と争っており、何でも一番になろうと努力している。口調はきつく、悠真にも厳しい態度を取るが、本当は努力している姿を人に見られるのが恥ずかしく、自分に自信がない一面を持っている。異世界では大魔導士となり、魔導杖を使って火と雷の魔法を操る。巨大な炎を放つ爆炎魔法や、素早い敵にも命中する雷撃魔法、魔力を一時的に大幅に高める魔力過剰放出のスキルを持つ。ただし、感情が乱れると魔法が暴走する危険がある。悠真が自分の魔法を理解し、誰よりも信頼してくれることで、次第に彼を意識するようになる。悠真に褒められると素直に喜べず、「べ、別にあなたのためじゃないんだから!」と言いながら、誰よりも彼を助けようとする。
三女の一ノ瀬美桜
おっとりしていて優しく、誰に対しても穏やかに接する少女である。争いを好まず、困っている人を見つけると放っておけない。五人の中で最も人の感情に敏感で、悠真が自分を落ちこぼれだと思い込んでいることや、無理をして周囲を助けようとしていることにも早く気づく。しかし、自分のことを後回しにする癖があり、危険な場面でも他人を助けようとしてしまう。異世界では聖女となり、水と聖属性の魔法を使う。傷や病気を治す高位回復魔法、毒や呪いを消し去る浄化、仲間の体力と魔力を回復させる聖域のスキルを持っている。悠真の心の弱さを理解し、彼が落ち込んだときにはそばに寄り添う。最初は優しさや心配から悠真を見守っているが、やがて彼と一緒にいるだけで胸が温かくなることに気づき、恋心を自覚していく。
四女の一ノ瀬静香
五人の中で最も無口で人見知りな少女である。人と話すことが苦手で、自分の気持ちを言葉にすることも得意ではない。しかし、周囲を観察する力に優れており、他の姉妹が気づかない小さな変化にもすぐに気づく。悠真が無理に話しかけることなく、静香が話すまで待ってくれることに安心感を覚えていく。異世界では影弓士となり、弓と短剣を使って戦う。気配を消す気配遮断、影から影へ移動する影渡り、遠距離から敵の急所を射抜く精密射撃のスキルを持つ。悠真とは会話が少なくても気持ちが通じ合う関係になり、戦闘でも非常に相性の良い組み合わせとなる。恋心を自覚するのは五人の中で最も遅いが、最後には誰よりもまっすぐに悠真へ想いを伝える。
五女の一ノ瀬明日香
明るく元気で、五人のムードメーカーである。誰とでもすぐに仲良くなれるほど人懐っこく、好奇心も旺盛である。異世界の食べ物や動物、精霊に強い興味を持ち、危険な場所でも迷わず進んでしまうことがある。いつも笑顔を浮かべているが、実は不安や寂しさを隠すために明るく振る舞っている部分もある。異世界では精霊召喚士となり、短杖と精霊石を使って自然の精霊たちと契約する。精霊契約、精霊召喚、精霊共鳴のスキルを持ち、火、水、風、土などの精霊を呼び出したり、動物や自然の声を聞いたりすることができる。明日香は最初から悠真に懐き、彼を「悠真くん」と呼んで積極的にそばへ近づいていく。初めは親しみや憧れに近かった感情が、やがて本物の恋へ変わり、悠真に一人の女の子として見てほしいと思うようになる。