あらすじ
かつて「魔王」と呼ばれた帝国の滅亡から十三年。外界から隔絶された秘境ガラーシャ村で育った十一歳の少年・エフェスは、元女戦士の母マリアや司祭の祖父ヤコブ、そして温かな村人たちに囲まれ、野山を駆け巡る平和な日常を送っていた。
仲間たちが当たり前のように魔法を操るなか、自分だけが上手く扱えず焦りとコンプレックスを抱くエフェス。だが、司祭の祖父から「魔法の極意は『感謝(トーダー)』にある」と諭され、親友たちとともに逞しく成長していく。
迎えた「成人の儀」。村中が祝宴の活気に包まれるなか、幼馴染の少女・エセルは、自身が背負う亡国の王女という宿命ゆえに、静かに村を去る準備を進めていた。
夜の湖畔、満天の星とホタルの光が舞うなかで交わされた、二人だけの秘密の約束と「虹龍石の首飾り」――。
これは、残酷な試練が訪れる前に紡がれた、かけがえのない青春と絆、そして再会を誓う希望の物語。