あらすじ
「設定は一発デス。確認は不要デス」
そう言った次の日から、機械は確認をやめなくなった。
*
大学でAIの推論を研究していた日野は、職を失った。拾ったのは同級生だった女で、山奥にロボティクス工場を持つ一族の娘、というより会社の本当のオーナーだった。
住んでいいと言われたのは、エレベーターがないので誰も住みたがらない社宅の四階。日野は毎日、三階と四階のあいだで一度止まる。
そこへフランス人の天才CTO・クロエが、来客システムを持ちこんでくる。
一号機は、確認が終わらなくなった。
二号機は、止めるために、止めた証明を要求した。
三号機は、同じ人を管理者だと言った直後に、管理者ではないと言った。
四号機は、間違えないために、何もしなくなった。
壊れるたびに、クロエは機械を四階の窓から中庭の池へ投げる。投げる前の安全確認だけは、指をさして声に出して、きちんとやる。
推論の科学を教えていた男が、推論に失敗する機械を毎週診断する話。
ついでに、四階にはなぜか会社中の美人が集まってくる。