あらすじ
美人は、作れる。
そんな言葉は嘘だと、彼女は知っていた。
生まれつき容姿に恵まれなかった彼女は、美容のために夜の世界で金を稼ぎ、整形、メイク、ヘアケア、体型管理――綺麗になるためにできることは、文字通りすべてやった。
努力に意味はある。
下の下だった自分を、中の上までは持ってこられた。
けれど、努力ではどうにもならないものもある。
骨格。パーツの配置。頭身。
そして、老化。
三十歳になり、自分が人生をかけて磨き上げてきた身体が、これから時間によって劣化していくことを受け入れられなかった彼女は、その人生を終えた。
――そして、もう一度生まれた。
未来(ミラ)。
今世の彼女が与えられたのは、前世でどれほど金を積んでも手に入らなかった、生まれつき圧倒的に美しい容姿。
今度こそ、この身体を最高の作品にする。
美容も、メイクも、髪も、服も、体型も、一切妥協しない。
そして二度目の人生で手に入れた、異常な情報処理能力と記憶力。
未来はそれすら、美容のために使う。
どれほど綺麗に仕上げても、放っておけば人間は老いる。
なら――老化そのものを止めればいい。
目標は二十歳。
英語を覚え、論文を読み漁り、生物学と化学を学び、日本を飛び出し、研究の世界へ。
世界を救いたいわけじゃない。
医学を発展させたいわけでもない。
人類の未来なんて、割とどうでもいい。
ただ、自分が老けるのが嫌だった。
これは、美容への執着だけを前世から引きずった女が、自分という最高の作品を劣化させないために医学を攻略し――その副産物として、世界まで変えてしまう話。