あらすじ
なぜ働いても、人間は楽にならないのか。
なぜAIが仕事をしてくれるようになると、人間は困るのか。
なぜ環境問題は、最後には「一人ひとりの心がけ」になるのか。
なぜ少子化になると、「若者に子どもを産んでもらう」という話になるのか。
なぜ社会問題が起きるたびに、誰かの意識や努力の問題へ変換されるのか。
本書は、そんな現代社会への素朴な「なんで?」から始まる。
経済、仕事、格差、気候変動、ゴミ、自然災害、少子化、教育、医療、孤独、SNS、思考停止、認知戦、政治、地方、AI。
一見すると別々に見える問題を、一つずつ上流へたどっていく。
人の行動を見る。
その行動を生む構造を見る。
構造を作った前提を見る。
そして、その前提を当たり前だと思っている自分の認識を見る。
認識 → 前提 → 構造 → 行動 → 結果。
問題が起きた場所だけを見るのではなく、問題が生まれるまでの流れを捉え直す。
それが、本書で語る「中庸道」の視点である。
中庸とは、右と左の真ん中に立つことではない。
何でも半分ずつ取ることでもない。
人間も社会も世界も常に動いている。
だから、固定された正解を持つのではなく、今どこへ偏っているのかに気づき、その都度調整する。
昨日の中庸が、今日の偏りになる。
だから答えも更新していい。
本書は「こう生きろ」と教える本ではない。
政治の正解を示す本でも、社会の完成形を提示する本でもない。
むしろ、その逆だ。
この本も疑っていい。
中庸道も疑っていい。
他人の答えをそのまま信じるのではなく、自分で「なんで?」と問い、自分なりの答えを作ればいい。
そして違ったら、また捉え直せばいい。
善人だけで成立する社会ではなく、普通の人間で成立する社会。
我慢を設計するより、普通を設計する。
人間を変えるより、選択肢を変える。
正解ではなく、調整する。
社会がおかしいと思うなら、考えればいい。
おかしいと思わないなら、普通に生きればいい。
難しい思想を覚える必要なんてない。
偏ったら気づく。
違ったら直す。
そしてまた、自分で選ぶ。
最後には、考えていることすら忘れて普通に生きる。
中庸道=普段通り。
現代社会を「誰が悪い?」からではなく、
「なんで、そうなる?」
から捉え直す一冊。