あらすじ

就職活動に疲れ、恋人にも振られた大学四年生の僕は、SNSで見かけた「死ぬまでに一度は見ておきたい景色」に惹かれ、白根山の宿で一か月だけ住み込みのアルバイトを始める。 そこで出会ったのは、霧の中にひとり佇んでいた不思議な女性だた。 荷物もスマホも持たず、どこから来たのかも話さない。 宿のオーナーの計らいで、彼女も同じ宿で働くことになる。 温泉まんじゅうが大好きで、硫黄の匂いを「大地が生きている匂い」と笑う。 その一方で、人間の当たり前を知らない彼女は、ときどき妙なことを口にする。 「八十年しか生きられないのに、どうして嫌なことにそんなに時間を使うの?」 そして、彼女は最初から決めていた。 「次の満月になったら、私はここを旅立つ」 記憶を失っているのか。何か事情を抱えているのか。 放っておけなかったはずなのに、一緒に過ごすうちに、僕は彼女を行かせたくないと思うようになる。 月が満ちるまで、あとわずか。 彼女はいったい、どこから来たのか。 そして次の満月に、どこへ帰るのか。 これは、人生から少し逃げた青年と、 この世界を初めて知る彼女が過ごした、 たったひと月の恋の物語。

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小説を読もう2026/09/24
  • 現在の作品白根山で出会った彼女は、次の満月に消える ――それでも、好きになってしまった