あらすじ
宇宙船の中で、恒一は老いていった。
長すぎる航海の中で、身体は衰え、船は壊れ、そして船内AIのタゴリも少しずつ記憶を失っていく。
「俺が忘れたら、教えてくれ」
「はい」
「お前が忘れたら?」
「……教えてください」
そんな約束を交わしながら、二人は地球を目指す。
何十年もの間、二人以外には誰もいない宇宙。
失われていく記憶。
増えていく故障。
近づいてくる地球。
そして、二人がずっと話していたことがある。
「帰ったら、海を見る」
それだけの約束を胸に、老いた男と、壊れゆくAIは最後の航海を続ける。
これは、宇宙を旅する物語であり、
「帰る場所」を忘れないための物語。