あらすじ
王族臨席の初日、開演三時間前。伯爵令嬢で王立劇場の舞台監督セシリアは、侯爵令息から婚約破棄を告げられる。彼の隣には主演女優。泣く暇もないまま、今度はその主演女優が消え、第二幕で王族席を襲うよう舞台装置に細工が見つかった。
安全監査に来た王弟アレクシスは公演中止を命じる。セシリアは危険な装置を封鎖し、客席を移し、代役と台本を組み替える。安全が証明できなければ中止する。その条件のもとで二人が守った初日のあと、閉じ込められていた主演女優は告げる。「私は逃げたんじゃない」
公演のたびに現れる偽の招待状、入れ替わる楽譜、消える役者。劇場を嫌う王弟と、表舞台に立たない令嬢は、幕の裏に残された時刻と人の嘘を追う。劇場で母を亡くした王弟の記憶まで、何者かが書き換えていた。