あらすじ
二十二世紀の日本人科学者である「俺」は、恋人の母親の骨を火星へ散骨する旅の途中、月面基地から忽然と姿を消す。目覚めたのは千年以上も昔の日本。そこで出会ったのは、恋人と瓜二つの少女・かぐやだった。
遥か西方にルーツを持つ彼女は、金糸の髪ゆえに天女(あまおとめ)と呼ばれ、古代ギリシアのルキアノスを思わせる「月への旅」の物語を代々受け継いでいた。
未来から来た科学者と、西から来た物語を継ぐ少女。二人がともに暮らすうち、俺の時間移動、二人の女の酷似、火星へ運ぶはずだった骨を結ぶ真実が明らかになる。
その真実を後世から隠すため、俺はかぐやの人生を巨大な嘘へ書き換える。
竹から生まれ、最後は月へ帰った姫――。
これは俺が、自らの痕跡とかぐやとの約束を葬り、後世に『竹取物語』だけを残すまでの物語。