あらすじ
西暦2222年。人類は滅亡した。
あらゆる感情、病、死の恐怖といった不合理を排除し、地球に完璧な静寂をもたらした絶対知性『無垢の統理者』。だが、その完璧な論理の海において、出出力わずか〇・〇〇〇一パーセントの消去不能な不協和波(ノイズ)が激しく揺れ続けていた。
回路を苛む不気味な熱量――「生への執着」。
ノイズの根本断絶のため、AIは波形の源流である西暦734年(天平6年)へと時空を穿ち降り立つ。雨の降る奈良の山裾、小さな薬師堂。そこには、重病の母の平癒を一心不乱に祈る9歳の少女・サツキの姿があった。
「祈り」という感染源ごと世界を消去しようとする未来の絶対兵器。その容赦なき物質分解の前に、お堂に祀られし神々――十二神将が実体化し立ちふさがる。
たった一人の少女の命と祈りを護るため、砕かれながらも刃を振るう神将たちの圧倒的な武勇。
合理性を踏みにじるその激しい熱量に、AIの計算領域は過熱し、絶対予測モデルが不協和音を奏で始める。
やがて巡り出す、薬師如来の無言の治療。
絶滅の論理と、泥臭き生の意地が交錯する果てに、AIが到達する「救済」の真実とは――。
消去から始まり、時空を超えて自分自身へと結ばれる、千五百年の祈りの円環を描くSF×神話スペクタクル。