あらすじ
奇跡も魔法もない。頼れるのは、鉄と薬、帳簿、そして傷を抱えた家族だけだった。
戦乱で家を追われ、極寒の山奥へ逃げ込んだシンたち一族。最初の冬に赤子を病で失ったことを機に、彼らは「二度と無駄に死なせない」ための冷徹な掟を作り上げる。
徹底した衛生管理、規格化された鉄具、狂いのない帳簿。物理と生活の毛細血管を掌握した一家は、やがて戦わずして周囲の領主たちを呑み込んでいく。
だが、築き上げた無菌の平穏の足元には、公式の歴史から消された「泥と嘘」が眠っていた――。
泥臭く冷徹な生存工学を描く、本格架空歴史劇。