あらすじ
時は慶兆三年。
天下を平定した羽柴豊秀の権勢にも翳りが生じ始め、保守派の羽柴勢と革新派の三河勢の間では、国を二分する大戦の気配が迫っていた。
尾張国の剣術大会で優勝した十八歳の少女、朱里。
扇流剣術を学ぶ彼女には、自身も知らない出生の秘密と、時折その瞳を赤く染める不思議な力があった。
やがて朱里の日常は、師と仰ぐ碧英の死によって一変する。
「扇の赤目」を狙う謎の忍び。
暗躍する忍組織「龍隠」。
そして、その頂点に立つ男――狩野開成。
真相を追う朱里は忍の里「影の縁」へ身を置き、銀眼の纏、魔眼を操る翡翠、天真爛漫な茉莉と共に、四人のくのいち部隊として戦いへ身を投じていく。
敵は龍隠最強の忍「四凶」。
だが、戦いの中で朱里が知るのは、敵にもまた戦う理由と譲れぬ思いがあるということだった。
正義とは何か。
守るために、何を犠牲にできるのか。
そして朱里の赤い瞳に隠された真実とは――。
これは国を二分する大戦勃発前、水面下で繰り広げられた影の戦いと、託された思いを背負い生き抜く四人のくのいちの物語。