あらすじ
神によって生み出された、世界で最初の人類――エノ。
海を見た。
山を登った。
世界中を歩いた。
星も数えた。全部。
だが、十万年も生きていると、さすがにやることがなくなる。
食べるのも面倒。
眠るのも面倒。
今日何をするか考えるのも面倒。
そんなある日、エノは一本の木を見て思った。
「……いいな」
雨が降れば濡れ、風が吹けば揺れる。
働かない。悩まない。予定もない。
最高じゃないか。
こうして人類最初の男は、本気で木になる方法を探し始めた。
その途中、なぜか未来を覗けるようになったり、人類最初の性癖を獲得したりするが、本人は至って真剣である。
これは、長生きしすぎた男が最終的に「人間、もういいや」となった末に始まる、だいぶ変な創世の物語。