あらすじ
ヘーデ国との戦争に敗れ、講和を選んだガリア帝国。軍縮と経済復興に舵を切った帝国で、行き場を失ったヘラクレス・パイロットたちが流れ着く先――それが非合法の地下闘技場だった。
そこに現れた一人の少年、ジオ・クゥーン。齢十七、パイロット養成課程はわずか一年で修了したという。本来なら五年はかかるはずの過程を、なぜこの少年だけが。
淡々と、しかし誰よりも冷徹に敵を屠るその戦いぶりに、闘技場は熱狂する。だが少年自身の目的は勝利でも名声でもなかった。ただ、実戦の中でしか得られない「経験」を積むこと。その先に何を見ているのかは、本人にさえ明確ではない。
無敗の英雄、狂乱の少女、そして少年の正体を追う警備局――地下闘技場を舞台にした死闘の果てに、ジオを待っていたのは、彼自身も知らなかった自分の「正体」だった。
前作『鉄錆残党記』で描かれた戦争を、今度は敗者の側から。パイロットという生き方に縛られた者たちの物語が、再び動き出す。