あらすじ
反抗期の息子や老いた母との間でどこか満たされない日常を送る中年男性、飛鳥。ある日、母が体調を崩し病院に運ばれるも、医療関係者である姉が全てを手際よく差配し、彼は家族の中でさえ疎外感を深めていきます。そんな折、姉から告げられたのは、彼女の親友であり、飛鳥の淡い初恋の相手でもあった「花ちゃん」が、末期の癌で余命いくばくもないという残酷な事実でした。自分のことを覚えていてくれたという彼女の存在は、飛鳥の心に静かな波紋を広げます。後日、旧友の離婚話に触れ、人生の無常さを感じながら帰路についた飛鳥は、懐かしさから子供時代に遊んだ公園へと足を向けます。すると、ベンチにうずくまる体調の悪そうな女性がいました。心配して声をかけ、咄嗟に支えたその女性こそ、病で痩せ細った花ちゃんその人だったのです。声の調子や些細な仕草から互いを認識した二人。それは、数十年という時と、死という過酷な運命を前にして果たされた、切なくも運命的な再会の瞬間でした。