あらすじ
かつて、神の炎が世界を照らしていた。
鉄を鍛え、街を育み、闇に潜む魔を退ける、消えることのない炎。
だが、炎と運命の神イグニスは、ある日を境に姿を消した。
残された《永遠の炎》は赤黒く燻り、魔物たちが大地を侵す。
故郷を追われた人々は、最後の都《ヴェスタ》へと身を寄せていた。
その世界には、《灯火》と呼ばれる者たちがいる。
神炎の欠片を宿し、命を落としても聖堂の炉から再び身体を得る者たち。
人々は彼らに、失われた土地を取り戻す希望を託した。
けれど、蘇る身体にも痛みはある。
死の記憶は残り、守れなかった命まで戻ることはない。
城壁の外には、魔物の巣となった礼拝堂や、主を失った廃墟が広がる。
内側では、飢えと恐れが人々の心を削り、同じ炎に救われた者同士さえ、互いを隔てている。
それでも、誰かを待つ食卓がある。
忘れられた死者の名を刻む手がある。
裏切られることを知りながら、助けを求める声へ振り返る者がいる。
神なき時代を生きる者たちの、出会いと喪失。
血と灰に覆われた大地に残る、小さな温もりを綴るダークファンタジー短編集。
※本シリーズはTRPG『PRIMAL IGNIS』の世界観をもとにした短編小説集です。原作の知識がなくてもお読みいただけます。
※戦闘・流血・死の描写を含みます。