あらすじ
三十五歳、佐伯遼。
妻と、小学生の娘との三人暮らし。
仕事は忙しい。それでも順調だった。
家族との時間もある。
大きな不満があるわけでもない。
たぶん、これからもこうして生きていくのだと思っていた。
そんなある日、大学時代の友人・拓海から、久しぶりに連絡が届く。
何年も会っていなかった友人との再会。
そこで知った、自分とは無縁だと思っていた世界。
そして、ある男から投げかけられた問い。
「佐伯さんは、この先どうしたいんですか?」
仕事のことなら答えられる。
家族のことも、大切に思っている。
けれど――自分がどうしたいのかは、答えられなかった。
夢を諦めたわけではない。
そもそも、いつから夢について考えなくなったのだろう。
人との出会い。
仕事。
家族。
成功と失敗。
信じることと、疑うこと。
誰かを導こうとして、誰かを見失うこと。
これは、特別な才能を持った人間の成功物語ではない。
どこにでもいる一人の大人が、人との関係の中で自分の未熟さを知り、そのたびに迷い、間違い、選び直していく物語。
成功とは、何を手に入れることなのだろう。
その答えを探す三年間が、ここから始まる。