あらすじ
王都民籍院・蘇生記録課で働くリディアの窓口に、一人の男が現れた。
ユリウス・アスター。
三年前、北部戦線で死亡した――リディアの元婚約者だった。
奇跡的な大蘇生を受けた彼は、当然のように言う。
「戻ってきた。これで婚約も元通りだな」
けれど、死亡が確認された時点で婚約は終了している。
相続も、爵位も、売却された財産も、三年間に動いたものは自動では元に戻らない。
そしてリディアが復籍手続きを確認していると、ユリウスの死亡翌日付で、彼自身の署名が添えられた金貨一万二千枚の債務が見つかる。
死人に、新しい借金が増えるはずがない。
蘇生して戻った男と、三年間を生きた女。
元に戻らないものを、二人は一つずつ確かめていく。