あらすじ
初めて夢中になった人は、目の前で負けた。
それなのに私は、もう一度その人に会いたくなった。
高校一年生の三崎七海は、背が高いこと以外、これといった取り柄のない普通の女子高生。将来やりたいことも見つからず、友達に合わせて過ごす毎日に、不満というほどの不満もなかった。
ある土曜日、買い物帰りに立ち寄った広場で、七海は初めて女子プロレスを見る。
華やかな衣装。客席を笑わせるやり取り。身体がぶつかる、想像もしなかった大きな音。
そして、何度倒されても、大きな相手に向かっていく小柄なレスラー、小野寺夏帆。
技の名前も、ルールも知らない。
それでも七海は、気づけば彼女の名前を叫んでいた。
「また見たい」が、「私もやってみたい」に変わるまで、そう長くはかからなかった。
けれど、観客席から見上げていたリングは、近づくほどに高くなる。
後ろに倒れるのも怖い。練習についていけない。憧れの先輩にも、同期にも、置いていかれる。
それでも、昨日できなかったことが一つできると、明日もここへ来たくなる。
友達、家族、仲間、そして、いつか越えたい憧れの人。
出会ったばかりの夢を抱えて、七海は自分の足でリングへ向かう。
観客から練習生へ。プロテスト、デビュー、そしてベルトへの挑戦へ。
笑って、泣いて、思わず名前を叫びたくなる、女子プロレス青春小説。