あらすじ
あらすじ
銀色の髪に、片方だけ紅を刷いたような瞳。生まれつきのその容姿のせいで、村では「疫病神の子」と呼ばれて育った銀朱(ぎんしゅ)。唯一の理解者だった祖父の薬師が死に、借金のかたに売られた先が、よりにもよって後宮の毒見役だった。
命がけで椀の中身を舐めて確かめるだけの、誰もやりたがらない仕事。だが銀朱にとっては好都合だった。薬と毒の知識さえあれば、誰の顔色も窺わずに生きていける。「目が紅く光って毒を見抜く」などという噂は放っておけばいい。実際にやっているのは、匂いと痺れの出方を分析する、ただの地道な仕事だ。
そんな折、後宮で立て続けに起きる原因不明の昏倒騒ぎ。噂は「呪い」「祟り」で片付けられかけるが、銀朱の目には、ただの――しかし誰も気づいていない――人為的な仕掛けにしか見えなかった。
厄介なのは、この一件を追う中で「お前にしかできない」と頼られ始めてしまうこと。銀朱の信条はただ一つ、「自分は誰かの代わりになるつもりも、誰かに自分の代わりを務めさせるつもりもない」。それでも巻き込まれていく中で、同じく後宮で「余りもの」扱いされてきた妃嬔や女官たちと、気づけば奇妙な連帯が生まれていく――。
代役なんて、まっぴらごめん。それでも私は、私のままここに立つ。